涙の虹/yo-yo
した本人に身近なもので、本人が頼りにしているもので、最後の一滴みたいなもんですからね。涙が持ってる虹っていうのは素晴らしいですよ」と語る。
100歳の涙に虹がかかる。
想像したら、こちらの目頭も熱くなった。
100歳の詩人は、病院生活を続けている。
しばらくぶりに妻や家族と会って涙を流す。腰を痛めた96歳の認知症の妻とは、もう会えないかと思っていたと涙しながら、強く手を握りあった。
家族と別れたあとに、ひとり病室の机に向かうと、クレパスの様々な色を紙の上に塗り分けていく。それは、きょう見た涙の虹なのだった。
彼だけが見ることができる、涙の中の小さな虹。
まど・みちおという詩人は「
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)