掌編「悪夢」/イナエ
 
一か四分の一で足りる。余剰の土地は野生動物に解放できる。風と太陽光が豊かならば、平地に工場作る必要もない。地上に作る必要もない。人間が地下に潜れば、野生動物とテリトリーを争う必要もないではないか。
 
 動物である人間が、生き物を喰うことは止められないと知ったとき、人間に喰われるための動物を作りだした。足のない豚、巨大な乳房の乳牛。卵巣だけの鶏などなど。

 今では、人間の領域は地下になり、生物たちの食物輪廻から抜け出した。ここの動物たちは、人間に喰われるために成長しているのだ。稲や麦がそうであるように…。一生懸命に生きている野生動物たちの、食をめぐる争いの外にいて、ただ喰われれるためにだ
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