星野屑子の冒険/手乗川文鳥
ためる/フィノシカ、もうどこにも帰れないよ///
世界中の毛布が濡れて、跡形もなく蒸発する夜
わたしたちは星座から一等星を見失う
何億年もかけた痙攣を終えて
無音の中で爆発するのは
冗談みたいに烈しい老衰
放課後のグラウンドで金属バットが硬球を撥ね返す
運動部の掛け声を飛び越えた先で
右手で掻き毟るようにして、性器を
境界を喪ってしまえば
裂けた茎の断面は正しくうるおい、
衣擦れて皮膚に落ちる冠水、円い穴に蓋をして生き埋めになる
だれか大切な友達の死を忘れている気がする、(でも友達なんていないょ?)
グランドピアノの舌を転がり落ちて、スカートの襞に潜めた砂なり、涎
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