星野屑子の冒険/手乗川文鳥
 
の中で過ごす土地で産まれて/皮膚は薄く白く/緑に近い金髪の巻き毛の少年/雪原には君の足跡しかない/フィノシカ、/何も映らない群青の瞳/わたしと等しいものは白眼くらいしかないんだ/いいえそれだって、/誰かが手で時間をかけて編んだ重いニットに乾燥した雪が張り付いて溶けないでいる/フィノシカ、/君は死にに行く/これはわたしの負け試合/
君は傍観することをやめた/だから雪の中でどれだけ熱を保てるか/賭けをすると決めた/まだ君の精神は未熟だから/それを愚かだと/思うことが愚かなのだと、君は、/
今朝、裏庭に繋がれたまま犬は倒れた/痙攣する犬を抱いて/青白い靴音が白夜を締め付ける/犬の熱い息が君をあたため
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