星野屑子の冒険/手乗川文鳥
 
き抜ける
最新型の高校生には目にもとまらない、瞬間を、奪い取る
(わたしたちはただ一瞬だけ、世界を照らしながら生まれ、
世界に反射されて両眼を潰し、涙を流して光ることをやめた、
ひずみに吸い込まれていく残光が、白衣に映しだされて、
物語の終結が手を差し伸べる、

想像の中で何度も君を刺した、
かたちを失っても君は喪われなかった、
あわい、と口にして気が済むような詩人が嫌いだと、言え
オノマトペの鍵盤を乱暴に、弾け
できるかぎり卑猥な音楽を、夢想しろ


/存在しない国の/言語の/少年の名前が耳に残る/((フィノシカ))/フィノシカ、君は確か一年の殆どを雪の中
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