されど、死ぬのはいつも他人/藤原 実
 
まわりを見るとみんな必死になって名前をさがしています。
   「これも違う、あれも違う」と拾ってはまた捨てるので、とうとう世界中
   の名前が混ざり合ってしまいました。
   おそろしいことにアタマの中まで、みんなごちゃまぜになってきて、誰か
   知らない人が僕のアタマの中でヒステリーをおこしたりするのです。
   「このままでは僕がいなくなってしまう」
   僕はいそいで家に帰ると、卒業アルバムを開きました。とたんに名前とい
   う名前がバラバラと、アルバムからこぼれおちました。
   「電話帳だ!」と
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