されど、死ぬのはいつも他人/藤原 実
由なのに違いないのだから。
ぼくは二年前に十数年ぶりに詩を書きだした。上の『街(神戸より)』は詩作を
再開後すぐに書いたものだ。とにかく震災体験を詩にしなければ、という思いが
あって書いたが書き終えてすぐに「これは違う」と思った。違う、書きたいのは
語りたいのはこういうものではない。この詩にはあの時のあの感覚が出ていない
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『街裏』 北川冬彦
両側の家がもくもく動きよつて
街をおし潰してしまつた
白つちやけた屋根の上で
太陽がげ
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