されど、死ぬのはいつも他人/藤原 実
験がぼくにどんな影響を与えたかを、いまあらためて
語るべきか。いや、語るべきなのだ。けれどもいかに語るべきか?
神戸の街は姿を変えつつある。ぼく自身がいま住んでいる「復興住宅」というの
も、そのひとつの象徴だろう。住み慣れた地域を離れてここにやってきたのだが、
そのこともふくめて震災によってぼくの生活は一変した。けれどもぼくがいま語
りたいのはそういうことではない。あの日、ぼくを襲ったあの不思議な感覚、そ
していまもぼくを揺らし続けているあの感覚------について語りたい。そのこと
が、いまぼくが詩を書いている最大の理由な
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