二十歳(はたち)のエチュード/草野大悟2
 
だったか11時近かったか定かではない。
寒かった。
兄ちゃんのばあちゃんがつくってくれたという綿入れを
着せてくれた。
ほんのりあったかい紺色の綿入れ。

兄ちゃん
あの時ほど
あなたの眼がきれいだったことはない。
わたしは信じていい。
あなたのすべてを信じていい
そう思ったのです。
わたしのあなたが
そこにいた
美しい眼を持った
わたしのあなたが。
他のだれのものでもないあなたが
わたしの胸の中にいた。

ラジオの音楽が聞こえていたような気もする。
月の光があったような気もする。

「みちこ、裸になってくれ」
あなたのかすかな声が
聞こえたような気
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