とりとめもないものは/ホロウ・シカエルボク
かも判らなくなって、そのせいでこんなところで死んでしまったんだ、と思った、そしてそれは、きっと真実だろうという気がした、建物の中をすべてうろついてしまうと、また、退屈になった、外に出ることも考えたけれど、まだそれは少し躊躇われた、自分の身体から余り離れてしまうのは、良くないような気がしたのだ、少女はバルコニーに戻ることにした、なんにしても死んでしまったことはありがたいことだ、と彼女は思っていた、もう母親のようになることを恐れることもないし、なにより少しも寒くないし、寂しくない―ふと、あることを思いついて、少女は浴室に行った、脱衣所の洗面台の前に立ち、鏡に自分が映っていないことを確かめると、楽しそう
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