とりとめもないものは/ホロウ・シカエルボク
 
のが置かれていた、最初に入った部屋で見たステレオ以外はほとんどが同じだった、二階には四つ、一階には二つの部屋があった、一階の部屋は二階の部屋よりも広く、誰かが使っているみたいに清潔で整頓されていた、他には浴室があり、台所があり、トイレがあり、玄関があり、裏口があった、書斎のような小さな部屋もあった、そこには使われている形跡がなかった


ねえ、詩を読んで
絵を描いて
歌をうたって
走って
ままならなくていいから
少しも
ままならなくていいから
たどたどしくって構わないから


私はおかしくなって死んでしまったのかもしれない、と、少女は考えた、きっと母親のように突然何もかも
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