とりとめもないものは/ホロウ・シカエルボク
ていた、あれはおそらく身体から抜け出して二度目の夜明けを見たころだった―自分の死体を眺めていることにももう飽き始めていた
オカリナの記憶だけが鮮やか
きちんとした陶器の
鮮やかな音がする水色のオカリナの記憶だけが
少女はバルコニーを離れた、閉じられた窓をすり抜けて建物の中に入った、ずいぶんと使われていないらしいソファーやテーブル、電球の入っていない傘だけのスタンド、年代もののおそらくつきはしないだろうテレビ、家具調仕立ての馬鹿でかいステレオなどがあり、そのすべてが致命的に埃をかぶっていた、おじいちゃんがこんなステレオ持ってたな、と少女は泳ぐようにそれに近付いた、レコードプレ
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