とりとめもないものは/ホロウ・シカエルボク
 
し歩き続けては
明方まるで見たこともない街角で
私はどうしてこんなところに居るのだろうと
乗物に乗って家に帰るのだった


硝子、硝子、硝子、硝子、硝子を踏み潰して、集めて、砂のように撒いて


少女の霊魂は自分の死体に重なるようにバルコニーに座っていた、膝を立てて
自分の居る場所はまるで見覚えのない場所だったし、どうしてそこに来て死んだのかもまったく思い出せなかった、誰かと一緒に来たのかもしれないし、たった一人で来たのかもしれなかった、死んだ自分の顔を見ながらずっと考え続けたけれどどうしても思い出せなかった、もう考えても仕方がないんだ、少女はそう思ってもう考えることをやめてい
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