とりとめもないものは/ホロウ・シカエルボク
 
ってしまったものは、取り繕ってもそれまでとは同じにはならないものだから


青い空を飛ぶ一羽の鳩が
バルコニーの少女を見つける
飛びついて啄ばみ出すと
どこからか仲間が集まる
柔らかな機銃掃射は
長い時間をかけて
少女の身体を蜂の巣にする
その光景はまるで
具現化された呪いにも似て
羽の音がとても長く
変拍子を生み出し続けていた
彼女はそこそこ骨になるまでそこに居て
死んでいると囁き続ける
どこかの関節が外れて
存在としての形式を保持できなくなるまで


踏みつけて粉になった硝子は集められるだけ集めて、遺灰のようにどこかへ撒いてください、祈りや弔いは微塵も必
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