孤独な王子とヒトクイバナ/愛心
 
扉を押したら、重い音を立てて開いたんだ。

久しぶりの日の光が、闇に馴れた目に突き刺さるように痛んだ。
父上様も母上様も、じいやもいなくて、代わりに色鮮やかな大きなお花さんが咲き誇っていて、その甘くて優しい匂いに噎せ返った。
母上様に抱っこされたときのような匂いだった。

お花さんはまるで動物みたいに、動いてその花弁を僕の顔に擦り付けてくれた。暖かくて、柔らかくて、お日様の匂いがした。嬉しくてへらりと笑ったら、お花さんは蔓を伸ばして、大きな葉っぱで僕を抱き締めてくれた。

幸せ、幸せ。僕は幸せ。

僕がお花さんに甘えてると、他のお花さんかずるずると何かを持ってきてくれた
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