孤独な王子とヒトクイバナ/愛心
 
れた。僕よりもおっきな、とってもおっきなケーキだった。
僕は嬉しくてかじりついた。柔らかくて、甘くて、ふわふわしてた。僕はケーキの端だけでお腹いっぱいになってしまった。お花さんはケーキを元の場所に戻すと、代わりにキレイな色をしたキャンディーを舐めてた。お花さんたちは僕の周りに座ってペロペロ、がりがりと食べ終えると、僕の顔を見て、にっこりと笑ってくれた。

僕はお花さんの傍で眠り、ケーキをかじり、また眠った。

お花さん。お花さん大好き。
あの扉から出てから僕はもう後ろは向かないよ。
何も考えたりしないよ。この幸せに身を任せるんだ。

ケーキは何故か無くならないけど。
喉は全く渇かないけど。
キャンディーは僕の知ってる形に似てるけど。

そんなのもう、どうでも良いんだ。
だって、こんなにも居心地が良いんだもん。

お花さん、大好き。

僕は誰で、ここはどこだっけ。


戻る   Point(0)