真夜中、殺意のレコード/ホロウ・シカエルボク
だけなのだから
目を閉じると悲鳴が聞こえた、窓の外で繁殖し続けている連中の悲鳴だった、それは繁殖と同じタイミングで、内耳を引っ掻くようなトーンで繰り返された、目を開いてため息をついた、またしても妨げられるのだ
気づくと隣にはぐちゃぐちゃな野郎が寝転んでいて、上体を起こしてあるのがないのか判らない目で俺のことを見ていた、産業廃棄物にこびりついたヘドロみたいな臭いがした、俺は殺意を覚えた、殺意を覚えるのには充分すぎた、俺はそいつの顔に噛みつき、歯で顔をむしってやった、耐え難い臭いにもどしそうになったがつけこまれそうで堪えた
そいつは悲鳴を上げられないらしく、両手で顔を押さえてしばらくもがい
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