屋上/きとり
て笑い出すのをこらえていた。
自分でもひどいやつだと思った。
普段男みたいな女子、男まで泣いていた。
でも同じ中学に行くやつがほとんどなのに、
何に対して泣けばいいのだろう。
担任の先生は好きじゃなかったし、大好きな先生はもういなかった。
皆と帰った別れ道で、あの屋上に行くことにした。
何故か独りになりたくて。
制服のままよじ登った。もういくら汚したって
構わない。
屋上について、学校が目の下に広がったとき、
初めて泣きそうになった。
だってもうここに登ることはないから。
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