屋上/きとり
 



中学校に進む自分んはもうこの場所に


収まりきらないから。


今日この時で最後なんだ、


一度涙が零れると、もう後は溢れて止まらなかった。



あの忘れられたような屋上


足場代わりの材木は朽ちて倒れ、


壁に伝う梯子も剥がれ


真っ黒な階段で錆び果てた。


それを見たとき、


寂しくて泣きたいような、


けれどどこかでもう誰にも行けないことに、


ほっとしたのを覚えてる。


あの場所にはもう誰も行けやしない。


あの眺めを見るものはもういない。



自分だけの秘密


あの屋上にはそれが


おもちゃ箱のように詰め込んである。






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