OMMADAWN/
 
止むことがないし、窓の外はガラスに付着しては私を嘲笑いながら流れ落ちる雨粒で歪められ、良く見ることができない。あるいは、すべての存在は最初から歪んでいるのかも知れない。そして窓ガラスだけが誠実なのかも。仮にそうだとしても、吐き出される解答に変わりはない。そんな私に分かることは世界がモノクロームだということくらいだ。この部屋や私自身と同じように。そこまで考えて、私はようやく自分が色彩を失ったことを思い出す。どうせ、またすぐに忘れてしまうだろうが。

(あるはずのない魚の声が聞こえる)

それでも、たまにノックの音がすることがある。雨音に混じった曖昧な音だったり、暴力的なほど大きな音だったりす
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