HAYABUSA/ハァモニィベル
 
が一匹、私と、軽自動車の窓ごしに同じ高さで並ぶ。
 さして大きくはない猛禽の勇者は、風が強すぎるせいだろう、まるで初心者が自転車を練習するときのあの真似できない頼りない揺れ方で、どうにか風に乗るのがやっとだという体で、とても今、話しかける余裕はなさそうだ。だが、力一杯ひろげた小さな翼は、風の強さに、めげることもなく、揺れる我が身に、恥じることもなく、いま、全力で、胸を張り、全霊で、風に向い、カラダひとつで、強風に煽られ、寒そうに揺れながら、だが、当然のように宿命を飛んでいる、彼の、姿。
 ガラス越しのわたしは「寒くないのか、鳥は・・」 と、ふいに心配が沸く。
  「誕生日には革ジャンをプレゼ
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