ぼくがそれをやりたいわけは/ホロウ・シカエルボク
」とかみさんはにこにこした、かみさんはすぐににこにこするんだ、「ねえ」とぼくは言った、「そいつが生まれたらぼくの生まれた街に行かないか」かみさんはにこにこしながら、「いいけど急にどうしたの?」「吹いてるうちに思い出したんだ、むかしのことを」いいわね、とかみさんは笑った、彼女はむかしの話をしない人だった
そうして里帰りしたぼくたちが見たものは、荒れ果てた生家だった、狼狽えたぼくは馴染みの顔を捕まえて家のことを聞いてみた、彼の意見は冷たいものだった、「きみが悪いんだぜ、音信不通でふらふらして…」二人は墓に入っていた
ぼくは墓の前で、黙ってずっと立っていた、かみさんが優しく腕を取
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