ぼくがそれをやりたいわけは/ホロウ・シカエルボク
 
れもいいかと思ってぼくたちは夫婦になった、貧乏だったからお手製の式だよ、借り物の上着、友達が縫ったドレス…なんて歌あったけど、だいたいあの通りさ


ぼくらは特別ケンカもせずに、相変わらずやってばっかりで、そりゃもちろんいつでもってわけにはいかなかったけれど、おおむねうまくやっていた、いつのまにか迎えた四十の誕生日に、押入れを整理していて昔吹いてたハモニカを見つけた、吹いてみるとかすれたけれどそんなにひどくはなかった、すぐにコツは思い出した、ぼくは一曲吹いてみた、三人目を身籠ったかみさんがやってきてそれどうしたのと聞いた、「昔吹いてたんた、押入れの奥から出てきた」とぼくは言った、「そう」と
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