ぼくがそれをやりたいわけは/ホロウ・シカエルボク
して旅をしているらしいと聞いた、懐かしいという気持ちすらなかったけれど…それは確か二十歳の頃で、鐵工所で働いていたんだ、鉄板を形に嵌めてくり抜いたり折り曲げたりね、キツい仕事だからしたくなかったけど、身元の怪しいぼくを雇ってくれたのはそこだけだったから我慢して働いてたんだ、そこで仲良くなったヤツが頭を一瞬で潰すまではね
それからぼくは荷物をまとめてまた逃げ出した、お金がたくさん溜まってたから最初の旅のようなひもじい思いをすることはなかった、あんな思いをするのはもうこりごりだった、あんまり人に言えないようなこともせざるを得なかった、とにかくそれからゆっくり探したんだ、あちこちを回りながら
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