ぼくがそれをやりたいわけは/ホロウ・シカエルボク
 
女はそんな風に言ったけど、ぼくにはむしろ彼女が、まるで変わっちゃいないんだって風に見えたのさ
ねえ、この世はおかしなことで溢れてる


十六を過ぎた頃だったかな、朝早くからバス停に腰をかけて、南へ向かう長距離バスを待っていたんだ、とにかく流れを変えたくてさ、生まれた街を離れればなんとかなるって気がしてた、南に何があるのかなんてこれっぽっちも知らなかった、そんなこと少しも重要なことじゃなかった、ぼくはボヘミアンを気取って、まだイビキをかいてる父と母に心でさよならを言ったのさ、血は繋がってるけど話は通じなかった、話が通じないのなら一緒にいる意味はなかった、一度だけどこかの街で、ぼくを探して
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