【レビュー】雲雀料理11号の感想 3/4/mizu K
 

翻って「粘菌」にとっては、地下鉄内が生活圏であり、トンネル内を自由自在に行き来している。その役割は、侵入してきた「食物」の分解である。侵入者を待ち受ける「粘菌」と、侵入する詩の語り手とは、捕食者/被捕食者の関係になり、そこに会話が成立する余地はない。食うか食われるかである。

黄色い粘菌は、詩の語り手の背広にぺたりとくっつく。彼がはじめはとまどい、それから嫌悪をもよおしはじめたころ、粘菌は彼の背広を溶かしはじめる。酵素を分泌して分解を開始する、ともとれる。粘菌の出した〈黄色いの〉はとれない。〈カビみたいなにおい〉がただよう。彼は鏡をみる場所にいる。洗面台のあるところ。水道の蛇口からぽたぽたと
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