妖怪/梓ゆい
 
遠くにある、かすかな記憶を掘り起こし

これが何か?何なのか?が見えず

苦しむ日々を受け入れた・・・・。

その一方で

毎日が透明になり

都庁の上から、空へと消える夢を見る・・・・。

夕飯の匂いに誘われて

立ち止まってみる門前は

決して超えることの出来ないバリケード。

そこにいる自分自身は、何者なのか?が解らぬまま

10m先も見えない住宅街の中を

懐中電灯の灯りで歩き出す。。。

(コーン・コーン・コーン・・・・。)

塀の向こうには、モノノケがいて

一人きりの私を

異次元へと連れ去るのだろうか?

一人しかいな
[次のページ]
戻る   Point(1)