ライアーの娘/
 
スキはキライ
キライはスキ
繰り返される通過儀礼
そうとも知らずに得意気に
嘘を弄んでいた彼女は
ある晴れた冬の午後に
うっかり真実を覗き込んで
その日の内に手首を切った
何とか命が助かったのは
彼女が「本当に死ぬ」と言ったからだ

通じるかどうか分からない
異国の言葉を連発し
俺より嘘が上手かった
自称「元大学教授」の爺さんは
イヴの夜にうっかり嘘を踏み外し
ゲイバーのママに刺されて死んだ
ものすごい量の血に雪が融けていた
俺は確かに警官の舌打ちを聞いた

世界は嘘で構成されている
この詩はトイレで書いている
最初の嘘は深く後悔している
もちろんすべ
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