【レビュー】雲雀料理11号の感想 2/4/mizu K
 
映像的な余韻をのこす。そのままショートフィルムにでもできそうな作品と感じた。すこしだけ想像してみよう。冒頭1連目を独白する男性の声。2連目の少年が水たまりに手をつっこんで拾い上げるシーンから、遠くに投げる動作、空まで届くほど高く放り投げられて。暗転して、地下鉄のゴトゴトいう音と規則的な間隔で後方に流れる電灯、窓にうつる横顔。ビルの谷間に浮かぶ太陽の赤さと、アップに映された充血した目との交互のカット等々。

さて、作中の鍵になる言葉はなにかと考えてみると、私は「感情」と「微笑」ということになるのではないかと思った。微笑について形容する語にはどんなものがあるだろうかといくつか挙げてみる。やさしげな
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