【レビュー】雲雀料理11号の感想 1/4/mizu K
、耳をすます。
〈きみ〉は沈黙し、〈おはやし〉の音は聞こえない。だが耳もとを通りすぎていくのは認められる。ものおと、ざわめき、さんざめき、足音、笛の音、太鼓の音、ひとびとの声。まるで音を消したディスプレイごしに流れる映像を眺めているようだ。もしくは手持ちのビデオカメラで撮られた、ゆらゆらとおぼつかなく映しだされる風景を想像してもいいかもしれない。そこにいる人々は実在しないようで、幽霊のようで、次作の『(ランナー あるいは破裂する風船)』に登場する透明人間のようでもある。だがそこに映っている人々は、血の通った人間であり、まぎれもなく存在している。あるいは存在していた。
仮定の話をしてみよ
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