【レビュー】雲雀料理11号の感想 1/4/mizu K
 
。喉のつづくかぎり音のない絶唱はつづいていく。絶え間のない静寂、冷厳な静寂、動くものをいっさいゆるさない静けさ。それと同時に耳に鳴り響く騒乱、狂乱、喧噪、騒擾、トーン・クラスタ。

音楽について語るとき、まず、音楽が成立するためには「静寂」を必要とする、という話は定番である。芥川也寸志によれば、それは「かすかな音響が存在する音空間」(*1)での静寂、という但し書きがつき、適度な音の響きがその場になければ音楽が音楽たりえないことへの言及がある。周辺環境が極度の静寂下にありかつ反響が極小である場合、音が発生するための大前提としての「ひびき」が失われるために、それは音楽として成り立ちえない。


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