【レビュー】雲雀料理11号の感想 1/4/mizu K
 
不可視の帝国〉、これらは見ることに関すること。

ランナーに対する私のイメージは、まあ文字通り走る人であるのだけれど、入念に準備をしたマラソンランナーが道の先へ、奥へ向かって走り去っていくそれがある。ランナーは遠くへ、遠くへ、さらに遠くへ。その「遠さ」をもとに考えてみると、作中のランナー、鳥、少年、蜃気楼、明日、壁の向こう、不可視の帝国、これらはすべて遠いところにあるもの、あるいは遠いところにむかうもの、つかめないもの、たどりつけないところにあるもののいずれかを表象している。〈砂に濡れた馬賊たち〉もユーラシア大陸の東の果ての島国に住んでいる私にとっては遠い存在。そして、〈透明人間〉は、私たちの
[次のページ]
戻る   Point(4)