病床のドッペルゲンガー/yamadahifumi
 


もう一人の本物の私が病室の戸を開けて

『私』に向かってくるのが私にも見えた

その時、私は自分がもうすぐ死ぬ事を確信し

そしてもう一人の私が私に代わって

私の死を・・・その生涯の終末を

全うしてくれるという事を悟った

私の人生は儚く消えた一輪の花

だがその花は造花に過ぎなかった

匂いもせず、どこか嘘くさい造花

・・・結局、それが『私』に過ぎなかったのだ

そして今、もう一人の私が私の耳元で

次のようにそっと囁くのだ

「君はもうおしまいだ

これからは『私』の時代なんだよ

君に意味はなかった

君は存在してい
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