旱魃の夜/hahen
見える街に夜は来ない
陽気で跳ねるような連弾の言語が
あらゆるものを流していく
過ぎ去るのは故郷を忘れて
どこまでも飛んでいく偏西風に、
ひんやりと濡れた砂泥、そして
聴き取られない子音
暗みの底から
這い上がってくる足音のいっさい
誰の手にも、そしてどんな筆を持っても
どんな紙にだって書きつけられない
主語だった言葉
亡霊たち
一度目には寒波の下で
冷たく燃え上がる炎を前にして
誰もが射精する
二度目には厳かな態度と
洗練された身のこなしで
乾いてなお熟す言語を得る
その時までに
閉じられることのない
唯一の学識が大洋を渡る
全部、全部、
初めか
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