旱魃の夜/hahen
 
めから手にしているものだけ

煙草の煙が砂塵となって
広く全ての音と、水分を
砂漠の平野から
撫でるような手つきで
取り除いていくけれど
細く、果てしなく長い吐息の
終末まで、そして炎が
芯から冷え切って
風に千切れるまで、
ひび割れた唇から漏れる
わたし、
を奪われないように
眠り続けている人たち
ためらわず、
動かなくなっても
眠り続けている人たち

吐息を大旱魃の
砂漠に預けて

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