空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
 
遠い昔に実は、この日のことを予見するようなことがあった。
  ぼくがそこにいるだけで、みんなが笑っている。そんなことがあったらどれだけいいだろうと思ったことがあった。できるだけたくさんの人がぼくを見て笑っている。それが叶うようにいつも思い描いていた。それが今日叶う。そういう日だったのだ。 
  ぼくはこの旅の目的は果たしたのだと思った。おそらく草刈さんも弁吉君もそう思っていたのだと思う。
  そして三人が揃った時既に、予感が何かを動かそうとしていたのだ。
  きっとタイミングを逃さず掴んだ瞬間で、こんなことは人生であっても一回あるかないかのことだろうと思った。そうやって今に価値を見出そうと
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