空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
 
うと思考で踏ん張ってしまうのは、この時間が、捕まえてしまいたいくらい素敵だったからだろう。
  草刈さんも弁吉君もぼくも、ずっと待っていたことなのだった。チョンビーナ人が笑って揺れている。
  漠然と、これはひとつの恋愛論だなと思った。
  チョンビーナ人たちの笑いがおさまって、穏やかになろうとしていくなかで、チョンビーナ人たちが片手を上げて空に向かって手を振りだした。
  
  草刈さんが言った。

「ええ一日の時はこうやって空に手を振ってからこっちの人は寝るからな。それにしてもこんなに大勢でのさようならは・・・」
  
  そこがまるで太古、静かな深海であったかのように。
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