空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
 
いた。なんだか久しぶりにビールが飲みたくなって、露店で買って立ち飲みしながら歩いた。
  うまかった。もう体が拒絶している感じもない。これならまた飲める。
  弁吉君ならいいけど、草刈さんに一口無心されたらどうしようと思った。なんだか草刈さんの口は汚いから。
「一口ください。」
  弁吉君が無心してきて、一口あげた。

「あー、うまい。」
  草刈さんはなにも言ってこない。内心が読めない。でも、こうなったら、あげないわけにはいかない。ぼくは、断ってくれ!そう祈って、草刈さんもどうですか?と言った。
「ええで、わしは。」
  ほっとしたと同時に、ぼくのケチ臭い祈りが通じてしまったの
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