空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
 
あ、風呂から上がろか。これからこの浴槽の温度がどんどん上がっていってな、最後にはこの鳥が茹であがって死んでしまう。それを、羽むしりながら食べるんや。」
「ええー、無理ですよ!コニシでいいです。ぼく、ここ出てコニシ食べますから、二人で食べてください。」
  弁吉君が真顔で見ている。草刈さんは沈黙を続けて後、
「海万君、嘘やがな・・・」
  苦笑いして、少し申し訳なさそうな顔をして、照れていた。
  どうしても嘘をつかずにはおれない。そんな自分に、草刈さんも辟易しているのだろう。  
  草刈さんも、若い頃、草刈さんのような先代の嘘つき爺に憧れたのだろう。そして晴れて嘘つき爺に成れたはいい
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