空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
 
 
   
「あれっ、鳥を食いに来たんじゃなかったんですか?」
 弁吉君がにこにこ笑っている。
「そや、みんな裸になるでえ。」
 どういうことだろう。見たところ、銭湯なのである。
 
 脱衣所で服を脱ぎ、浴室の浴槽に浸かる。

  楕円形の黒ずんだ、巨大なお椀だ。そこに鳥が四羽生きて、浮いている。川鵜に似ている。足は鎖で椀底の石に繋がれていて、脱出することができないでいる。先客のチョンビーナ人は、シャワーで体を洗い終わったところで、浴槽に入った。こんなに生臭い入浴は初めてだ。ぼくらも続いた。ごく自然に、裸の四人が繋がれた鳥と一緒にお湯に浸かっている。いい湯加減だ。

「さあ、
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