空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
葉っぱが道の上を転がりだした。さらうように風が吹いている。
「ちょうど、こんなな、ひょいって風が吹いた日やったなあ。今日あたり、見れるかもしれんでえ。それはそうと、鳥食べに行こ。」
目の前に鳥の絵の看板が現れた。実際匂うわけではないが、燻製の匂いがする店だ。壁面はチョンビーナ人のように褐色で、思わず嗅ぎ分けたくなる古風なアジアンテイストな造りになっている。
入ると、番台らしき人が椅子に座っている。奥に脱衣所があって、先客のチョンビーナ人が一人、服を脱いでいる。その裸は、チョンビーナ人ではなく、ただの褐色の人だ。それくらい、チョンビーナ人と言えば、服装そのものなのだ。
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