空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
たとえたい会」というサークルを作って、一ヶ月で終焉を遂げた苦い思い出が浮かんだ。あるものを見て、なになにのようだとたとえるサークルだが、メンバーは四人集まった。
リンゴの回が、全然盛り上がらなかった。あれが結局、解散につながった。椅子の上に赤いリンゴの実を置いて、四人で囲んで、デッサンする距離から、感じたことを呟いていく。
女子の吉永さんが「抽象画のよう」と言った。男子の宗気くんが「無花果のよう」と言った。ぼくが「姫路城のよう」と言った。林君が「諦めのよう」と言った。その後30分が経過して、宗気君が「左のよう」と言った。ぼくが「案山子のよう」と言い、吉永さんが「無口のよう・・
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