空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
 


「下の名前なんていうの?」
「弁財天の弁に大吉の吉で、弁吉といいます。」
  念のために聞いてみたが完全勝利だ。鳥取君じゃなくて弁吉君と呼ぶことに決めた。
  だけど弁財天の弁って、便所の便を連想させないように先手を打って来たところが頭がいいと思った。いや便所より、便利と思われることを恐れているのかもしれない。
  すかさず草刈さんがふやけた声で言った。
  「いや、間違って便所君って言うてしまったことあるなあ。ふやぁー、はっは。」
  名前のカッコよさにおいて、もう完全にカースト制度が出来上がったぞ。草刈さん、ぼく、弁吉君の順番だ。これからたとえ漢字テストに遭遇したとしても
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