地図/葉leaf
 
を読むとそこへ至る経路とそこの項目が地図の上に明晰に出来上がる。だが別の経路を探索しているうちに、昔通った項目はだんだんと薄らいで行ってしまうのだった。それに学者肌だった私は、明らかに受験に必要のない小道に寄り道を繰り返した。私の地図の正確性を測るのが模試であり、模試は毎回のように私の地図は極めて不正確だと告げ、その度に私は地図を見失った。信頼性を失った地図はもはや地図ではなかった。

余りにも地図が不正確だったとき、私は自らの周りに何も明晰なランドマークがないことを悟った。私は地図の外に身を躍り出し、何もないところで疲労した心身をいたわっていた。そんなとき、私は台所に行くとグラスにワインを注
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