電脳と死の雨/hahen
分があって。そこに」
「ああ、あそこ。うん。今雨降ってる?」
「ええ? 降ってるわけないだろう」
そこで通話が遮断される。とても唐突に、そして不自然なタイミングで。ぼくは火葬されて納骨までされたおじさんと会話したことよりも、一旦成立したアクセスがぶつっと切れてしまったことのほうに驚いた。通話時間が表示されている。たった百二十秒ほどの時間、ぼくたちは多分死んでいた。カーテンをそっと開く。部屋の明かりを反射させた窓に顔を近づけると霧雨みたいな雨が弱々しく降っている。
すぐ近くまで来ているらしい。ぼくは死んだおじさんを迎えに行かなくてはいけない。
霧状の軽い水滴が、ほんの少しの冷たい風に
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