電脳と死の雨/hahen
友人が弾き慣れたベースラインを繰り返し練習する。ぼくは煙草を吸いながら寝床で丸くなっている。枕元のスマートフォンが鳴動する。火葬された親戚のおじさんからの着信だった。驚いて思わず通話を開始してしまう。
「もしもし」
「そろそろ俺もそっちへ行きたいんだけどね」
「イケるんじゃない?」
「すぐ近くまでは来れているはずさ」
「どのへん?」
「どうしてか我が家じゃなくて君の家の近くでね。音楽やってる友達がいるって言ってたじゃないか」
「うん、それが?」
「熱心に練習してたぞ」
「知ってる」
「そうか……で、場所だけど、これもどうしてか道のど真ん中に一か所だけ濡れていない部分が
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