電脳と死の雨/hahen
 
と落下してくる、打ち上げられた画像データが軌道に乗って浮いている。水滴の描く斜線がいくつも乱雑に交錯しながら埃の積もった窓枠を叩くと、リズムは一旦失われたんじゃないかと感じる。ぼくはコンピュータの電源を入れなかった。眠れないぼくはぼくのまま乾いていくはずだ、あの時走り去っているべき車を、そして雨の止む瞬間を、この目で見ることが叶わなくても。リズムは失われない。二十億の脈拍で、接続された全世界の相互アクセスの一切を切り刻む。それは一定の調律と拍動で行われるべきだと思う。

 たった一つの狭い異世界が、おそらくは、もうぼくたちの世界の内側へと迎合しているだろう。それを確かめて認識する術はない。

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