電脳と死の雨/hahen
るアルペジオ、一定の調律と脈拍がある。明日になれば、明日でなくともいつかは、雨が止むだろう。その時濡れていたのはぼくたちか。確かにぼくたちと、ぼくたちの生きる処だろうか。それとも、もしかして全く違う処から、ぼくたちは何度も何度も跳躍して、雨粒の奏でるリズムの狭間をすり抜けたのでは。張り巡らされた見えない経路を走る電波も、雨に濡れるだろうか。そうしてその足取りが鈍くなる。接続された全世界を閉ざしたいとぼくなら思う。今この瞬間、ぼくは歩いて家に帰り着く、どこかで仮想空間に打ち出されて漂っているセンテンスが、電源の入っていないコンピュータには届かない、雨が止まない。情報が氾濫する。文字情報がパラパラと落
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