ノート(冬と手)/木立 悟
みんな白や金を胸に受けとめ
白や金の朝に溶けそうだった
目を閉じた笑み
草のなかの笑み
肩から上を
地の陽に向けて
誰かが果実を抱いているとき
どちらが果実かわからぬ光の
瑞々しさと不安の手を結ぶ
何もさえぎるもののない光を
見つめつづける瞳のあるとき
見つめつづける瞳になるとき
山頂の星々を
はじまりと終わりの花々を
切りすぎた前髪に絡めては
冬の原に振りまいてゆく
くりかえし くりかえし
さかいめの無い色にひるがえる
淡く不確かなふちどりのまま
雨の日の植物園には
姿を持たない感情の生きものがいて
壁を伝
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