ノート(冬と手)/木立 悟
 
を伝い流れる緑や
細い線の連なりに紛れて
つぼみのなかに入り込み
白や金の花を咲かせる



空には風の片道があり
冠よ 冠よと花は呼ぶ
光の傷から現われる声
音をなぞる蔦と葉の
文字と文字ではないものの間に
窓は空を書きうつす



袖をいろんなかたちに切り抜いて
髪飾りを布くずでいっぱいにして
静かな雪に染まろうとする日に
子らは胸元に降る白や金が
たくさんの色に招かれて
ゆっくりと目をひらくのを見た
見えなくなるようなかがやきのなか
手を結ぶ小さなふちどりを見た








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